カートなしでは運べなかった量の買い物を、レジの若い女性がピッピッとしながらカゴからカゴへ移していく間、わたしは見上げる位置にあったモニターをぼんやり眺めていた。星占いだとか、牡蠣は繁殖期を過ぎると中性化するとか、新商品の案内とか……疲れたなぁと思いながら。

やがてという声が聞こえたので、カードを出して、それからふっとカゴに目を落として驚いた。カゴの中がピッカピカに輝いて見えるくらい、きれいに商品が入れられている。まさに目が覚めるような新鮮な感動で、改めてその人の顔を見て名札も確認してしまったくらいだった。

「わーお、なんてきれいに並べることができるんでしょうあなたは！」と、私がアメリカ人だったら言えたんだけどアメリカ人じゃないし、「上手ですねえ」と素直に言えるキャラでもないしで何も言えなかったのを少し後悔している。本当にきちっと、縦横に線を引いたようにピンと物が並び、実際、エコバッグに入れ替えるのも楽だった。つまり、単に重いものが下で軽いものが上という入れ方ではなく、四角いカゴの中に数学的宇宙が見えるような、ああ、なんて説明したらいいんだろう水族……。

ともかくこれが、大袈裟でもなんでもなく、今日一番感動したこと。すごいわスズキさん！